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セスカのSSもどき?
あまし文章得意じゃないのでその辺目を瞑って下さると嬉しいですかねー。
思った事の色々と日常と、想い出。
旅団の施設の城から抜け出してきょときょと辺りを見回す。
…うん、誰もいn
がさっ。
『コルセスカ様。今日は何処にお散歩に行くんですの?』
「Σす、スターチス…っ」
黄金の月の様な目をした黒い猫が軽い動きで近くの茂みから飛び出し、私の目の前に現れた。
拍子に大きめの赤い首輪の鈴がりりん、と鳴る。
スターチスはもう一度、問うように炎の灯る尻尾を揺らめかせた。
あぅ…結局、見つかってしまいました…。
「あ…ぇと…今日は…うん、今日は、前行った、噴水のある、公園まで、お散歩する予定、です」
『それも宜しいですわね!お伴致しますわ!是が非でも!』
有無を言わせない口調。
ご主人様、と言うか、私至上主義なスターチスだけど、基本的に押しの強い子な訳でした…。
*****
で、散歩に出た訳ですが。
例によって例の如く、絶賛迷子注意報発令中な訳でした…。
「あれ?…えぇと…?」
『コルセスカ様…ここどこでしょうか?』
「えぇと…た、確か…こっちで…?」
あれ?あれ?…えぇ?
確かさっきは見たことある道を通ったような気がしたんですけど…。
『コルセスカ様。この辺り…多分城の敷地内の森かと思うのですが』
「え…嘘…?…えぇと…あれ?」
辺りを見回してみる。
…………………………。
何処となく見覚えのある植物。
咲いてる花も、木の葉っぱの形も、見覚えがある。
えーっと…。
…………………確かに、言われてみれば…そうかもしれ、ません?
「…………………探索地域を、変えただけ、です」
『コルセスカ様が仰るならわたくしは信じますの』
「…ありがと、です…」
え?探索だったの?とか、変えたと言うか変えざるを得なかったんじゃないの?
的なツッコミをしなかったスターチスに、ちょっと泣きそうになりました。
*****
少し歩いて行くと、森が抜けた。
瞬間、少し強い風が吹いてきた。
髪が煽られ、思わず目を瞑る。
少しして、風が弱まり、薄く目を開ける。真っ白い花弁が弱くなった風に乗って飛んで来た。
しっかり目を開いた先には雪が積もった後の様に咲き乱れる花。
「…あ、此処は、見たこと、あります…」
『そうなんですの?…此処、お花畑ですの』
「…はい、アルメに、連れて来て貰った事が、あります」
一番最初、あのお城に住まわせて貰うことになった次の日に、この場所に連れて来て貰った。
何処へ行くのかと尋ねる私に、アルメは内緒だと言って、手を引いて。
そして見たのがこの景色だった。
*****
『あの…此処は…?と言うか…どうして…?』
『まぁまぁ。見せたかったんだよ。綺麗だろう?』
そう言ってアルメは楽しそうに笑った。
晴れた空みたいな笑顔。
くるくる表情が変わるアルメは空みたいだ。
『この花、雪みたいだろう?名前は知らないんだけどね』
『うん、確かに…雪みたいに、白くて、綺麗、です…ちっちゃくて、可愛い…』
風に乗って漂ってくる香りさえ優しく甘く、気持ちがほんわかするのが分かった。
ふと、思い出したようにアルメが此方を向く。
『そーいえば、セスカ。あんた、ファミリーネームは覚えてなかったんだよねぇ?』
『あ…はい…ごめんなさい…』
『謝る事じゃないよ。しょぼくれた顔しなさんな。可愛い顔が台無しだよ』
どよんと落ち込みオーラを漂わせて目に見えて落ち込む私に、アルメは可笑しそうに私の頭を撫でる。
『えぇと、じゃあさ、ライトスノーっての、どう?』
『らいとすのー…?』
『淡雪って意味だよ。セスカの髪はこの花みたいに白くて綺麗だし、良く似合うと思ってね♪』
『な、き、きれ…っ!?…そ、そう、でしょうか…』
もごもごと口ごもる私に、アルメはまた可笑しそうに笑い声を上げる。
『どーしてそうも自信が無いかねぇ?綺麗だと思うよ?』
『でも、こんな…何も色ない…髪…変…』
『変じゃないよ、とっても綺麗だよ』
そう言った時のアルメの笑顔は温かくて、お母さんみたいだと思った。
安堵と褒められた気恥ずかしさと、喜びに、知らず笑顔が零れた。
*****
『コルセスカ様?』
「あ…」
『ぼんやりなされておられたようですけど、大丈夫ですの?』
「は、はい…大丈夫、です」
怪訝そうに小首を傾げるスターチスに慌てて返事をして、私はその花の傍でしゃがみ込んだ。
優しい優しい想い出。
想い出すだけでも温かい気持ちになれて、涙が出そうなほど胸が締め付けられる。
もう手を伸ばしても届かないから。
「…スターチス」
『何でございますの?』
―この花を見てるのが辛い。
そう言ったらあなたはきっと自分が焼き払おうと言ってくれるだろう。
でも其れはだめだから。
「なんでも、ありません」
『…?』
苦笑した私に、スターチスはくりくりとした黄金の瞳をぱちくりさせた。
そっと小さな花に触れる。
露に少し濡れた花弁から泪の様に雫が滴り落ちた。
と、
ふいに、スターチスが肩に乗ってきた。
あまり重くはない柔かな感触に、私は顔を上げる。
『コルセスカ様』
「何、です…?」
『今、しあわせですの?』
思わずきょとんと目を見開いて、間抜けな表情になってしまう。
今幸せかどうか?
幸せかどうか。
イエスかノーで言うなら、間違いなくイエスだろう。
多い訳ではないが、私にしてはたくさんの人と、関わりがあって、毎日話をして。
驚く事や面白いな事もたくさんあって、毎日が新鮮で楽しい。
たくさんたくさん大事な人も出来た。
団員さん達、不思議な出会いをしてできた友達、最近何となく…好き?だと思う人。
友好で遊びに行ったところで出会った人達、ぱぱ様。
「…幸せ、ですよ」
『…そう、ですの…。…それなら、良かったですの』
とん、とスターチスが私の肩から飛び降りた。
ふわりと炎の宿る尻尾が揺れ、りりん、と鈴が歌った。
「…そろそろ、帰りましょうか」
『…そうですわね。遅くなったらプリムラのヤツが心配しますの』